ヴァルナ制【古代インド】

ヴァルナ制
後期ヴェーダ時代、アーリヤ人によって形成された宗教的身分制度。上位からバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラの身分がある。

ヴァルナ制はなぜ生まれた?

三角形
後期ヴェーダ時代の中頃、鉄器の活用によってアーリヤ人農業技術が向上し、農作物が余るようになりました。生産性が上がったのは喜ばしいことですが、そうなると、農作業に直接関わらない支配階級が現れてきます。その結果、アーリヤ人社会には身分の上下関係が形成され、4階級から成るヴァルナ制へと発展しました。

ヴァルナ=色

顔
 ヴァルナという言葉は「色」を意味しています。前1500年頃にパンジャーブ地方に進入したアーリヤ人は、先住民のことを「ダーサ」と呼んでいました。「ダーサ」は肌の色が黒く、支配するアーリヤ人、支配を受ける先住民の構図は肌の色の違いによってももたらされました。

ヴァルナ制の各身分の特徴

バラモン

ヴァルナ制における最高身分で、ヴェーダにまつわる祭祀をとりおこなう司祭階級です。

農耕社会が成立したことで、自然災害から国を守るために祈りを捧げることができるバラモンは重要視されました。

クシャトリヤ

「クシャトラ(権力)を持つ者」という意味がある、武士階級です。クシャトリヤとバラモンは身分秩序の最高位をめぐって争うこともありました。

バラモンはヴェーダの中で「バラモンはクシャトリヤより偉いんだ」と何度も強調しています。

ヴァイシャ

農民や牧畜民、商人などの庶民階級です。

シュードラ

上位の3ヴァルナに仕える隷属民です。アーリヤ人に支配された先住民の多くがシュードラとなりました。

先住民への待遇を見ると、代々アーリヤ人が持つ先住民への差別意識が伺えます。

バラモン教

アーリヤ人はバラモン教という多神教宗教を信仰していました。名前の通り、バラモンが執行する祭式を中心とする宗教です。人々がバラモン教を信仰する以上、バラモンはその指導者として自らの地位の高さを正当化することができました。

バラモンにとって都合の良い宗教、バラモン教です。

不可触民の出現

 後期ヴェーダ時代の後半になると、排泄、血、死などに関わる行為やものが過度に「汚らわしいもの」とされました。そしてそれらに関わる職業の人々が「不可触民」という社会の最下層に落とされました。不可触民は、はじめはシュードラの最下層という位置付けでしたが、やがてシュードラ以下の存在、第5のヴァルナとみなされるようになりました。

不可触民への差別(『律法経』から引用)

彼らに触れたとき、彼らと言葉を交わしたとき、彼らを見たときには、穢れ(けがれ)を受ける。そのさいには浄化儀礼をせねばならない。彼らに触れたときには全身の沐浴、言葉を交わしたときにはバラモンに話しかけること、見たときには太陽、月などの光を見ることである。