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エーゲ文明をわかりやすく解説【ギリシア世界①】

ヨーロッパのルーツ、ギリシア世界について勉強していきましょう。
まずはエーゲ文明です。

エーゲ文明とは?

  • エーゲ文明:紀元前20世紀~前12世紀の約800年間、エーゲ海周辺で栄えた古代ギリシア最古の文明
ヨーロッパの地図

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エーゲ文明の中にもいろんな文明があります。有名どころは、クレタ文明ミケーネ文明です。
エーゲ文明

エーゲ文明の経過

クレタ文明、ミケーネ文明などをひとくくりにして、エーゲ文明と呼びます

クレタ文明

クレタ文明のプロフィール
地中海の地図
  • 繁栄地:クレタ島
  • 存続期間:前20~前14世紀
  • 特徴①:海洋的・平和的で明るい文明
  • 特徴②:宮殿クノッソスがエヴァンズによって発見
  • 特徴③:線文字Aを使用
エーゲ文明は、まずクレタ島で栄えました。エーゲ海に浮かぶ島です。

危機感のない文明?

クレタ文明は海洋的・平和的な文明とよく言われます。クレタ文明がいかに平和であったかを表しているのが、宮殿クノッソスです。

建物

宮殿クノッソス

クノッソスには城壁がありませんでした。つまり、クレタ文明は外敵への警戒心が薄かったと考えられます。
POINT
クノッソスは、1900年にイギリスの考古学者エヴァンズによって発見されました。

線文字A

クレタ文明で使用されていた文字を「線文字A」といいます。

線文字Aが記された粘土板

線文字Aが刻まれた粘土板

線文字Aの解読にはまだ至っていません。なんて書いてあるんでしょう…

ミケーネ文明

ミケーネ文明のプロフィール
地中海の地図
  • 繁栄地:ギリシア本土
  • 存続期間:前16~前12世紀
  • 特徴①:好戦的な文明
  • 特徴②:線文字Bを使用
  • 特徴②:貢納王政
エーゲ文明後期にあたるのが、ミケーネ文明です。

ミケーネ文明では、ミケーネティリンスといった小王国が分立していました。

好戦的な文明

ミケーネ文明は、クレタ文明とはうって変わって好戦的な文明でした。

ミケーネ王宮の門

巨石を積み上げた城壁があるのが分かります。それだけ好戦的だったことが計り知れますね。

線文字Bを使用

ミケーネ文明では線文字Bという文字が使用されていました。こちらは1953年に、イギリスのヴェントリスによって解読されています。

クレタ文明が線文字A、ミケーネ文明が線文字B。混同しないように気を付けましょう。

突然の滅亡

ミケーネ文明は、前12世紀頃に突然滅亡しました。滅亡の理由は未だに分かっていません。今のところ「海の民」によって滅ぼされたという説が有力です。

  • 海の民:紀元前12世紀頃、東地中海を荒らした系統不明の民族

ミケーネ文明の滅亡により、約800年続いたエーゲ文明も終焉です。

暗黒時代へ

エーゲ文明が崩壊したギリシア世界は、約400年続く「暗黒時代」と呼ばれる時代に入ります。

暗黒時代と言っても、ネガティブな意味ではありませんよ。文字史料があまり見つかっておらず、この時代の詳細が分からないんです。そういう意味での「暗黒」です。

鉄器を使い始める

そんな暗黒時代ですが、この時代にギリシア世界はそれまでの青銅器時代から鉄器時代に移行したことが分かっています。

POINT
ミケーネ文明が崩壊した前12世紀頃は、ヒッタイトの崩壊と同時期です。これをきっかけに、それまでヒッタイトのみが所有していた鉄器の生産技術が地中海に拡がり、ギリシア世界は青銅器時代から鉄器時代に移行しました。

ギリシア人の分化

暗黒時代には、ギリシア人が移動を開始します。そして移動が終わる頃、ギリシア人は方言の違いからいくつかの種類に分かれていました。

  • ドーリア人:エーゲ海の島々に移住。後にスパルタを建国する。
  • イオニア人:小アジア西岸に移住。後にアテネを建国する。
  • アイオリス人:小アジア西岸北部に移住。

エーゲ文明 まとめ

まとめ
  • ギリシア最古の文明をエーゲ文明という。
  • クレタ文明は海洋的で平和な文明。エヴァンズによって宮殿クノッソスが発掘される。
  • ミケーネ文明は好戦的な文明。ヴェントリスが線文字Bを解読。
  • ミケーネ文明が海の民に滅ぼされ、エーゲ文明も終焉。暗黒時代に入る。
  • 暗黒時代にギリシア世界は鉄器時代に移行した。


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